【経歴・活動年表】工房の開業から株式会社TANEBIまで
杉之原さんの活動は、母親として娘の居場所をつくった段階から、社会全体の仕組みを変える事業へと発展しています。
主な出来事を時系列で整理すると、次のとおりです。
この年表で注意したいのは、株式会社TANEBIの設立時期です。PR TIMESに掲載された会社概要では2025年9月設立とされています。一方、工房のプロフィール記事には2026年3月設立という記載もあります。創業・ブランド始動の発表は2025年12月17日です。法人設立と事業の本格展開を分けて理解する必要があります。
2020年の小さな工房から始まった活動が、6年後には若者の起業支援や福祉事業者との連携にまで広がったことが分かります。
(出典:みいちゃんのお菓子工房公式プロフィール、株式会社TANEBIの設立発表、PR TIMES掲載会社概要、日本自費出版ネットワークの受賞記録)
【株式会社TANEBIとは?】設立の理由とTANEBI STORYの起業支援
株式会社TANEBIは、杉之原さんが親子で取り組んできた実践を、ほかの若者や家族にも広げるための事業基盤です。
2025年12月17日、同社は「福祉でも教育でもない第3の道」を掲げ、創業とブランド「TANEBI STORY」の立ち上げを発表しました。
公式発表によると、事業の中心にあるのは、不登校や障がいなどの生きづらさを抱える若者を、単に支援を受ける立場として扱うのではなく、自ら価値を生み出す主体として捉える考え方です。
なぜ福祉でも教育でもない第3の道なのか
従来、学校生活に適応することが難しい子どもや、一般的な雇用形態で働くことが困難な人には、教育や福祉、就労支援などの選択肢が用意されてきました。
しかし、本人の興味や能力を生かしながら、実際に商品やサービスを生み出し、社会とつながる機会は十分とは限りません。
みいちゃんのお菓子工房では、娘が社会に出られる状態になるまで待つのではなく、先に本人が活動できる場所をつくりました。実際の仕事を経験することで、できることが少しずつ増えていくという考え方です。
TANEBIは、この経験を一つの家族の成功物語で終わらせず、ほかの親子にも応用できる仕組みに発展させようとしています。
株式会社TANEBIの公式会社概要では、事業内容を教育・雇用・福祉・文化を横断するプロデュース業と説明しています。主要ブランドには、次の3つが掲げられています。
- みいちゃんのお菓子工房:親子で取り組んできた菓子製造・販売の実践モデル。
- TANEBI STORY:若者や家族の起業、社会参加を支援するブランド。
- 教えない教室:一人ひとりの主体性や興味を重視する学びの取り組み。
(出典:株式会社TANEBI「ABOUT US」、2025年12月17日付創業発表)
TANEBI STORYは何をするコミュニティなのか
TANEBI STORYは、不登校や障がいのある若者とその家族が、小さな商いを通じて社会とのつながりをつくるための起業支援コミュニティです。
2026年5月には第1期がスタートし、全国から20組48名が参加しました。
公式発表で示されている主な特徴は次のとおりです。
- 資金・資格・専門スキルを最初から前提としない。
- お店屋さんごっこなど、小規模な商いから始める。
- 一人で始められる個人事業という選択肢を学ぶ。
- 若者本人だけでなく、家族も一緒に学ぶ。
- 教育や福祉と対立せず、必要に応じて併用できる仕組みを目指す。
ポイントは、最初から大きな会社をつくることを目標にしていない点です。
好きなことを見つけ、商品を考え、誰かに届ける。こうした小さな経験を積み重ねることで、仕事や社会参加への道を広げようとしています。
2026年5月の第1期については、同年6月に公式サイトで開始が報告されました。第2期は2027年5月開始を予定しており、公式案内では資料請求や個別相談についても紹介されています。
(出典:TANEBI STORY「TANEBI STORY1期生スタート」)
2026年10月には重い障がいや難病のある人への支援にも着手
TANEBIの活動は、不登校や発達障がいのある若者だけを対象にしているわけではありません。
2026年10月1日、株式会社TANEBIは一般社団法人じゅう楽との連携を発表しました。重い障がいや難病のある人が暮らすグループホームを舞台に、2026年11月から2027年3月まで、5か月間のモデル事業を実施する計画です。
この取り組みでは、学校卒業後も学びや新しい経験を得られる機会をつくり、本人の意思を尊重しながら社会参加につなげることを目指しています。
背景には、2027年4月施行予定の「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の改正があります。改正法では、生涯にわたって学習する機会の確保が盛り込まれています。
制度の施行を待たずに現場で実践を始めるという点は、みいちゃんのお菓子工房で培った考え方とも共通しています。
(出典:株式会社TANEBI、2026年10月1日付プレスリリース)
【講演・著書・社会貢献】杉之原千里が伝えていること
杉之原さんは、工房の経営だけでなく、講演活動や出版を通じて親子の経験を社会に伝えてきました。
講演の対象は、学校や大学、自治体、企業、福祉関係者など幅広い分野に及びます。
企業・大学・自治体での講演実績
工房公式サイトの講演実績には、2022年から2026年までの活動が掲載されています。
具体的には、2024年に大阪経済大学や札幌スイーツカフェ専門学校、近江八幡市立安土小学校などで講演。2025年には大阪・関西万博への登壇や企業研修、学校関係者向けの講演などを行っています。
2026年の実績としては、寝屋川市障害福祉課、大阪同和・人権問題企業連絡会、京都橘大学、滋賀県人権教育東近江研究会などが掲載されています。
講演テーマの中心にあるのは、障がいのある子どもへの理解、子どもの可能性を伸ばす環境づくり、固定観念にとらわれない教育や社会のあり方です。
また、2026年8月には滋賀県守山市とのシンポジウムに登壇。公式発信によれば、約150名が参加しました。
(出典:みいちゃんのお菓子工房「講演&研修実績と参加者の声」、杉之原千里公式発信)
著書『みいちゃんのお菓子工房』の内容
『みいちゃんのお菓子工房 12歳の店長兼パティシエ誕生~子育てのアンラーニング~』
著者:杉之原千里
出版社:PHPエディターズ・グループ
発売日:2024年2月22日
全376ページ
ISBN:9784910739458
本書は、みいちゃんが生まれてから12歳でパティシエとして歩み始めるまでの親子の記録です。
単なる子育て成功談ではなく、娘の特性を理解する過程や、学校生活で直面した困難、家族が新しい居場所をつくるまでの試行錯誤が描かれています。
タイトルにある「アンラーニング」とは、これまで身につけてきた知識や価値観を見直し、新しい考え方を取り入れることです。
杉之原さんの場合、それは親として当然だと思っていた教育や子育ての常識を見直し、娘の個性に合わせて環境をつくり直すことでした。
同書は2026年9月4日に結果が発表された第29回日本自費出版文化賞で、個人誌部門賞を受賞しています。応募総数824点の中から選ばれた作品の一つであり、親子の実践を記録した著作として評価された節目となりました。
なお、同賞の表彰式は2026年11月7日に予定されています。
(出典:みいちゃんのお菓子工房公式書籍情報、日本自費出版ネットワーク第29回日本自費出版文化賞最終結果)
講演・著書から見える社会貢献活動の方向性
杉之原さんの社会貢献活動には、主に3つの方向性があります。
1つ目は、障がいや不登校に対する理解を広げること。 自身の子育て経験を講演や書籍で伝え、教育関係者や保護者が子どもの個性を理解するきっかけをつくっています。
2つ目は、子どもが自分の力を発揮できる場を提供すること。 2024年6月に始めたスイーツキッズラボや、2026年の教室・出張教室の取り組みがこれに当たります。
3つ目は、若者が経済活動を通じて社会とつながる仕組みをつくること。 TANEBI STORYや福祉事業者との連携は、この方向性をさらに広げる試みです。
2026年には、第12回J300アワードでも株式会社TANEBIが準大賞を受賞しました。企業の公式発表では、不登校や障がいを起点とした支援モデル、親子起業家・ジュニア起業家という新しい人材像の提示が評価されたと説明されています。
母親としての経験を社会的な活動に変え、さらに事業として継続させようとしている点が、現在の杉之原さんの特徴です。
【プロの結論】みいちゃんママの挑戦から読み解く3つの重要な視点
みいちゃんママの活動を理解するうえで、特に注目したいのは次の3点です。
1. 子どもを変えるのではなく、環境を変えるという発想
みいちゃんのお菓子工房の出発点は、娘が苦手なことをすべて克服してから社会に出るという考え方ではありませんでした。
好きなお菓子作りを生かし、安心して活動できる場所をつくったことが、結果として社会との接点につながりました。
これは、子どもの能力を評価するときに、学校での成績やコミュニケーション能力だけを基準にしてよいのか、という問いを投げかけています。
2. 個人の成功を再現可能な支援モデルにできるか
一つの家族が成功した方法を、ほかの家庭でもそのまま実行できるとは限りません。
家庭環境、本人の特性、経済状況、周囲の協力体制はそれぞれ違います。
だからこそ、TANEBI STORYのように、小さな商いから始められる仕組みを設計し、親子が段階的に挑戦できる環境を整えることには意義があります。
一方、実際の支援事業を評価するときには、参加人数や成功事例だけでなく、本人の意思が尊重されているか、経済的に継続できるか、保護者の負担が過度になっていないかなども見る必要があります。
3. 支援される側から、価値を生み出す側へ
みいちゃんのケーキ作りは、単なる作業訓練ではありません。自分がつくったものを誰かに届け、喜んでもらうという社会的な役割を持っています。
この経験を起業支援に発展させることで、障がいや不登校という背景だけで人を評価するのではなく、本人が何を生み出せるのかに目を向けることができます。
もちろん、起業だけがすべての人に適した進路ではありません。一般就労、福祉的就労、教育機関での学びなど、本人に合った選択肢が確保されることも大切です。
みいちゃんママの実践から学べるのは、既存の制度を否定することではなく、その枠組みだけでは届きにくかった人に、新しい選択肢を増やすことです。
【みいちゃんママ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みいちゃんママとは何者ですか?
A1:杉之原千里さんです。滋賀県の「みいちゃんのお菓子工房」を立ち上げた代表で、株式会社TANEBIの代表取締役も務めています。娘の自立を支えた経験を生かし、講演や若者の起業支援に取り組んでいます。
Q2:みいちゃんは何歳でパティシエになったのですか?
A2:2020年1月、小学6年生の12歳で店長兼パティシエとして活動を始めました。2026年現在は18歳です。
Q3:みいちゃんのお菓子工房は現在も営業していますか?
A3:はい。公式サイトでは営業日やイベント情報が案内されています。2026年には出張教室やラウンジカフェなどにも活動を広げています。営業日や予約条件は変更されるため、訪問前に最新の公式案内を確認するのがおすすめです。
Q4:株式会社TANEBIとTANEBI STORYは何が違うのですか?
A4:株式会社TANEBIは教育・雇用・福祉・文化を横断する事業を行う会社です。TANEBI STORYは、その主要ブランドの一つで、不登校や障がいのある若者と家族に向けて、起業や社会参加を支援するコミュニティです。
Q5:杉之原千里さんの著書は何ですか?
A5:2024年2月22日発売の『みいちゃんのお菓子工房 12歳の店長兼パティシエ誕生~子育てのアンラーニング~』です。376ページのノンフィクションで、2026年には第29回日本自費出版文化賞の個人誌部門賞を受賞しました。
まとめ:みいちゃんママの現在は親子の挑戦から社会を変える段階へ
みいちゃんママこと杉之原千里さんは、娘・みいちゃんの好きなお菓子作りを生かせる場所をつくるため、2020年に「みいちゃんのお菓子工房」をプレオープンしました。
12歳で店長兼パティシエになったみいちゃんの挑戦は、2023年の工房グランドオープン、2024年の著書刊行や子ども向け体験事業へと発展。さらに2025年には株式会社TANEBIの創業とTANEBI STORYの立ち上げが発表されました。
そして2026年は、TANEBI STORYの第1期スタート、J300アワード準大賞、著書の日本自費出版文化賞受賞、重い障がいや難病のある人への新たな支援モデルなど、活動の広がりが明確になった年です。
特に重要なのは、みいちゃん親子だけの経験を、ほかの若者や家族にも活用できる仕組みに変えようとしていることです。
学校に行けない、話すことが難しい、一般的な働き方が合わない。そうした事情があっても、自分の得意なことを生かして社会とつながる道はあります。
杉之原千里さんが2026年に進めている活動は、その選択肢を増やすための挑戦です。今後はTANEBI STORYの参加者がどのような事業や働き方を生み出すのか、また福祉事業者との連携がどこまで広がるのかが注目されます。
みいちゃんのお菓子工房から始まった親子の物語は、いま、次の世代の可能性を広げる社会的な取り組みへと歩みを進めています。
主な参考資料: (出典: みい ちゃん ママ(Yahoo!ニュース))
- みいちゃんのお菓子工房公式サイト・プロフィール・ニュース
- 株式会社TANEBI公式サイト・会社概要・活動発表
- 株式会社TANEBIによるPR TIMES発表資料(2025年12月、2026年10月)
- 講談社「コクリコ」杉之原千里さんの子育てインタビュー(2024年6月)
- 日本自費出版ネットワーク「第29回日本自費出版文化賞」受賞結果(2026年9月)