【結論】つわりがひどいと女の子?医学的にはどうなのか

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【結論】つわりがひどいと女の子?医学的にはどうなのか
【結論】つわりがひどいと女の子?医学的にはどうなのか
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「つわりがひどいと女の子」というジンクスには、実は大規模な医学研究による裏付けがあります。ただし、正確には女児を妊娠している人のほうが、男児を妊娠している人よりも、つわりを経験したり重症化したりする傾向が統計的に強かったという結果です。

この関連を調べたのが、環境省が中心となって実施した「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを利用した研究です。高知大学医学部などの研究者が参加し、胎児の性別と妊娠中の吐き気・嘔吐の程度を分析しました。

研究論文は2019年9月、医学誌「Journal of Epidemiology」に掲載されています。対象者の登録期間は2011年1月から2014年3月であり、2026年に新たに実施された調査ではありません。しかし、約9万人という大規模な日本人妊婦のデータを用いた点で、重要な研究です。

注目したいのは、女児妊娠では単に吐き気が起こりやすいだけでなく、食事ができないほど症状が重くなる傾向も確認されたことです。

一方、統計的な関連があることと、個人の赤ちゃんの性別を予測できることは別問題です。男の子でも強いつわりを経験する人はいますし、女の子でもほとんどつわりがない人はいます。

【91,666人の妊娠調査】女の子を妊娠すると本当につわりが重い?

つわりひどい性別
【画像】つわり ひどい 性別 関連ショット

性別とつわりの関係を考えるうえで、最も注目されるのがエコチル調査を利用した91,666人の研究です。

研究では、妊娠12週までの吐き気や嘔吐について、妊婦本人が回答した質問票を分析しました。症状は次の4段階に分類されています。

  • つわりがなかった
  • 吐き気だけがあった
  • 吐き気や嘔吐があったが、食事はできた
  • 吐き気や嘔吐があり、食事をとれなかった

解析対象となった91,666人のうち、何らかのつわりを経験した人は75,828人。全体の82.7%に達しています。また、食事ができないほどの重い症状を経験した人は10,159人、全体の11.1%でした。

さらに、母親の年齢、妊娠前のBMI、出産歴、妊娠中の喫煙、教育歴などの影響を統計的に調整したところ、女児妊娠では男児妊娠よりもつわりの発症・重症化に関するオッズが高い結果になりました。

研究結果の比較

つわりひどい性別
【写真】つわり ひどい 性別 近影・注目カット
調査項目研究結果調査対象者91,666人単胎妊娠90,826人双胎妊娠840人つわりを経験した人75,828人(82.7%)食事ができないほどの重い症状10,159人(11.1%)女児単胎のつわり発症オッズ男児単胎と比べ1.15倍女児単胎の重症化オッズ男児単胎と比べ1.28倍双胎妊娠の重症化オッズ単胎妊娠と比べ1.61倍

出典:Mitsudaら「Severity of Nausea and Vomiting in Singleton and Twin Pregnancies in Relation to Fetal Sex: The Japan Environment and Children’s Study(JECS)」2019年。オッズ比は母親の背景要因などを調整した値。

特に注目したいのが、女児単胎妊娠の重症化オッズ1.28という数字です。これは、男児単胎妊娠と比較して、食事ができないほどのつわりを経験するオッズが約28%高かったことを示しています。

ただし、28ポイント高いという意味でも、女の子が生まれる確率が28%高いという意味でもありません。あくまで集団間の統計的な比較です。

双胎妊娠についても、興味深い結果が出ています。男児2人の双胎より、女児を1人以上含む双胎のほうが、つわりの発症や重症化と強く関連していました。

この研究から読み取れるのは、胎児の性別と妊娠中のつわりには、無視できない統計的な関連が存在するということです。ただし、研究者自身も、つわりの程度や期間を完全に把握できていないことなどを限界として挙げています。

【医学的根拠】hCGホルモンが女の子のつわりを重くする?

つわりひどい性別
【資料】つわり ひどい 性別 報道・メディア記録

つわりの性別差を説明する際によく登場するのが、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンです。

hCGは妊娠が成立すると胎盤になる組織から分泌されるホルモンで、妊娠初期の体内環境を維持する重要な役割を担っています。妊娠検査薬が陽性反応を示す仕組みにも関係しています。

hCGとつわりの関係

hCGは妊娠初期に急増し、一般的には妊娠12〜14週ごろにピークを迎えます。つわりが強くなりやすい時期と重なるため、以前から吐き気や嘔吐との関連が研究されてきました。

実際、hCGが高くなりやすい多胎妊娠や胞状奇胎などでは、吐き気や嘔吐が強くなるケースが報告されています。

また、過去の研究には、女児を妊娠している女性のほうが男児を妊娠している女性よりhCG濃度が高かったとする報告もあります。

こうした知見を組み合わせると、次のような仮説が考えられます。

  1. 胎児や胎盤に由来するホルモン環境に性差がある。
  2. その違いが母体のホルモン環境や吐き気に影響する可能性がある。
  3. 結果として女児妊娠でつわりが重くなる傾向が生じる可能性がある。

ただし、ここには重要な注意点があります。91,666人の研究では、妊婦の血液中のhCG濃度を直接測定していません。

さらに、過去の研究で確認された胎児の性別によるhCG濃度の違いは、妊娠後期に認められたものが中心で、つわりが起こる妊娠初期には明確な差が確認されていません。

つまり、女児妊娠でつわりが重くなる傾向は確認されているものの、その原因がhCGの性差であると確定したわけではないのです。

2024年に注目されたGDF15というホルモン

つわりの仕組みを考えるうえで、もう一つ知っておきたいのがGDF15(成長分化因子15)です。

2023年12月に科学誌Natureで発表され、2024年に掲載された研究では、GDF15と妊娠中の吐き気・嘔吐、妊娠悪阻との関係が詳しく検証されました。

この研究では、胎児・胎盤由来のGDF15と、母親側のGDF15に対する感受性が、妊娠悪阻の発症リスクに大きく関係することが示されました。

母体の血液中のGDF15濃度は、嘔吐を経験した女性や妊娠悪阻の女性で高い傾向が確認されています。

この発見は、つわりが単純に妊婦の気持ちや体質だけで決まるものではなく、胎児・胎盤からの生物学的な信号と母体の反応によって生じる複雑な現象であることを示しています。

ただし、GDF15の研究も、女児なら必ず濃度が高くなる、あるいは男児ならつわりが軽いという性別判定の根拠にはなりません。

【妊娠悪阻と胎児の性別】重いつわりは女の子のサイン?

「つわりがひどいと女の子」という話には、妊娠悪阻に関する医学研究も関係しています。

妊娠悪阻とは、通常のつわりが重症化し、食事や水分の摂取が難しくなったり、脱水や体重減少、電解質異常などを引き起こしたりする状態です。場合によっては点滴や入院による治療が必要になります。

過去の妊娠悪阻に関する研究では、女児を妊娠している場合に発症リスクが高くなる傾向が複数報告されています。

ただし、91,666人のエコチル調査でいう「重いつわり」は、質問票で吐き気・嘔吐があり食事をとれなかったと回答した人の分類です。医師が診断した妊娠悪阻そのものと同じではありません。

この違いを理解しておくことは大切です。食事ができないほどのつわりがあっても、すべての人が医学的に妊娠悪阻と診断されるわけではありません。

妊娠悪阻の主な症状と受診の目安

日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」では、妊娠悪阻について、休養や少量頻回の食事・水分摂取を基本とし、脱水がある場合には輸液などの治療を検討するとしています。

特に、次のような症状がある場合は、性別のジンクスを気にするよりも産婦人科への相談を優先してください。

  • 水を飲んでも吐いてしまい、水分を維持できない
  • 何度も嘔吐し、食事がほとんどとれない
  • 尿の量や回数が明らかに減っている
  • 口や唇が乾燥し、強い喉の渇きがある
  • 立ちくらみやふらつきが強い
  • 妊娠前と比べて体重が急激に減少している

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、妊娠前から5%以上の体重減少があり、経口で水分を摂取できない場合などに輸液を検討する目安が示されています。

治療には、ブドウ糖を含む輸液やビタミンB1の補充、ビタミンB6、必要に応じた制吐薬などがあります。薬の使用については、妊娠週数や症状を踏まえて医師に相談してください。

なお、尿中ケトン体の結果だけで重症度を判断することは適切ではありません。水分摂取量、体重変化、尿量、脱水の有無などを総合的に確認する必要があります。

つわりの重さは赤ちゃんの性別を占う材料ではなく、母体の健康状態を確認するための重要なサインです。我慢し続ける必要はありません。

【ママ50人のアンケート】男の子と女の子でつわりは違う?

大規模な医学研究とは別に、実際に妊娠・出産を経験した女性の声も気になるところです。

育児情報サイト「kosodate LIFE(子育てライフ)」は、2022年3月31日公開、同年7月11日更新の記事で、先輩ママ50人に赤ちゃんの性別とつわりの違いについてアンケートを実施しています。

紹介されている体験談には、性別によってつわりの重さや食べたくなるもの、症状が続いた期間が違ったと感じる人がいます。

体験談から見える3つの違い

1. つわりの重さが違ったケース

ある母親は、長男の妊娠中はトイレにこもるほどつわりが強かった一方、長女の妊娠中は軽い吐き気程度だったと振り返っています。

反対に、男の子の妊娠時より女の子の妊娠時のほうがつらかったという体験談もあります。性別と症状の関係が一方向ではないことがわかります。

2. 食べたくなるものが違ったケース

男の子の妊娠時にはポテトやカレー、たこ焼きなど塩気のある食べ物を好み、女の子の妊娠時にはケーキやアイスなど甘いものを欲したという体験談も紹介されています。

ただし、甘いものを食べたくなるから女の子、塩辛いものを好むから男の子という医学的な判定方法はありません。

3. つわりが続く期間が違ったケース

長男の妊娠では出産までつわりが続いた一方、長女の妊娠では安定期に入るころに症状が落ち着いたという母親の経験も掲載されています。

同じ母親でも、妊娠ごとに症状の現れ方や期間が異なることがあります。

アンケートと医学研究はどう違う?

ここで注意したいのは、50人のアンケートと91,666人の医学研究では、調査の目的や性質が異なることです。

  • kosodate LIFEのアンケート:個人の経験や感じ方を知るための体験調査
  • エコチル調査の研究:大規模なデータを使って性別とつわりの統計的な関連を調べる研究

アンケートは、妊娠中の女性が実際にどのような違いを感じているかを知る手がかりになります。しかし、50人の回答から男女別のつわりの発症率や重症化率を確定することはできません。

また、印象に残った妊娠経験ほど記憶に残りやすいという側面もあります。体験談は共感できる情報として参考にしつつ、医学的な判断とは分けて考えることが大切です。

【妊娠初期の性別判明時期】つわり以外で赤ちゃんの性別はわかる?

つわりの重さから性別を予測できないなら、実際にはいつごろ赤ちゃんの性別がわかるのでしょうか。

赤ちゃんの染色体上の性別は、受精の段階で決まっています。ただし、妊婦健診の超音波検査で外性器を確認できるようになるのは、もう少し先です。

産婦人科オンラインジャーナルの産婦人科医による解説では、妊娠14週ごろから外性器が少しずつ確認できるようになり、妊娠20週以降になると、より判断しやすくなるとされています。

ただし、赤ちゃんの姿勢や足の位置によっては、性別を確認できないこともあります。

性別がわかる時期の目安

  • 妊娠初期(〜13週):超音波検査で性別を判断するのは難しい時期。
  • 妊娠14〜19週:外性器が確認できれば、性別を推測できる場合がある。
  • 妊娠20週以降:外性器が見えやすくなり、性別を判断しやすくなる。
  • 出産時:出生時の確認によって性別が確実にわかる。

妊娠初期の健診で性別がわからなくても、異常ということではありません。赤ちゃんの向きや成長の程度などによって、判明するタイミングには個人差があります。

また、超音波検査で推定された性別が後から訂正されるケースもあります。性別が気になる場合は、妊婦健診の際に担当医へ確認してみましょう。

つわり以外の性別ジンクスも当たる?

妊娠中には、つわり以外にもさまざまな性別のジンクスがあります。

  • お腹が前に突き出ると男の子、横に広がると女の子
  • 甘いものが食べたくなると女の子、塩辛いものが欲しくなると男の子
  • ママの顔つきが変わると男の子、優しくなると女の子
  • つわりが重いと女の子、軽いと男の子
  • 胎動が激しいと男の子、おとなしいと女の子

こうした話は妊娠中の楽しみの一つとして親しまれていますが、いずれも個人の体験や言い伝えに基づくものです。

特に、つわりが軽いと男の子という噂も、今回の大規模研究から直接証明されたわけではありません。女児妊娠でつわりが重くなる統計的傾向があったとしても、軽いつわりの人から男児が生まれると決めつけることはできません。

【つわりひどい性別】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:つわりがひどいと女の子が生まれる確率は高いですか?
A1:日本の91,666人を対象とした研究では、女児妊娠のほうが男児妊娠より、つわりの発症や重症化のオッズが高い結果でした。ただし、個人の性別を予測できるほどの精度があるわけではありません。

Q2:つわりが軽い場合は男の子の可能性が高いですか?
A2:つわりが軽いから男の子とは判断できません。女の子でもつわりが軽い人はいます。つわりの症状には母親の体質やホルモン環境など、複数の要因が関係しています。

Q3:男の子と女の子では、吐きづわりや食べづわりに違いがありますか?
A3:男の子は吐きづわり、女の子は食べづわりという医学的に確立した違いはありません。食べ物の好みや吐き気の強さ、症状の期間には個人差があります。

Q4:hCGの数値が高いと女の子ということですか?
A4:hCGは妊娠初期のつわりに関係するホルモンですが、数値だけで胎児の性別を判定することはできません。妊娠週数や多胎妊娠などによっても値は変化します。

Q5:妊娠悪阻になったら女の子の可能性が高いですか?
A5:妊娠悪阻と女児妊娠の関連を示す研究はあります。しかし、男児妊娠でも妊娠悪阻になることはあります。重症化した場合は性別を推測するより、早めに産婦人科で治療を受けることが大切です。

Q6:赤ちゃんの性別は妊娠何週ごろにわかりますか?
A6:超音波検査では妊娠14週ごろから推測できる場合があり、20週以降になると判断しやすくなります。ただし、赤ちゃんの姿勢によっては出産までわからない場合もあります。

まとめ:【プロの結論】つわりの重さで性別を決めつけないことが大切

「つわりがひどいと女の子」というジンクスは、完全な迷信として片づけられるものではありません。

日本のエコチル調査を利用した91,666人の研究では、女児妊娠のほうが男児妊娠よりもつわりを経験しやすく、食事ができないほど重くなる傾向が示されました。女児単胎妊娠では、重症化の調整オッズ比が1.28という結果も報告されています。

一方、hCGの性差がつわりを引き起こす仕組みは確定しておらず、GDF15などの新しい研究からも、つわりには複数のホルモンや母体側の感受性が関係していることがわかってきています。

ママ50人の体験談にも、男の子のときにつわりが重かった人、女の子のときに重かった人、食べ物の好みや症状の期間が異なった人など、さまざまな経験がありました。

ここで押さえておきたい判断基準は3つです。

  1. 統計的な傾向と個人の性別判定は別:女児妊娠で重いつわりが多い傾向があっても、個々の妊娠には当てはまらないことがある。
  2. ホルモンの数値だけで性別を予測しない:hCGやGDF15はつわりの仕組みを考える手がかりであり、性別判定の検査ではない。
  3. つわりの重さを我慢しない:水分がとれない、尿が減る、体重が急激に落ちるなどの症状があれば産婦人科に相談する。

赤ちゃんが男の子なのか女の子なのか、妊娠中に想像する時間は楽しみの一つです。つわりのジンクスを家族で話題にするのもよいでしょう。

ただし、どちらの性別であっても、つわりが軽いことも重いことも、それだけで赤ちゃんの健康状態を判断する材料にはなりません。

性別を知る楽しみは超音波検査まで取っておき、今はお母さん自身の体調を最優先にする。それが、医学的な研究結果を正しく生かすための大切な考え方です。


主な参考資料

- Mitsuda N. et al., Journal of Epidemiology(2019)「Severity of Nausea and Vomiting in Singleton and Twin Pregnancies in Relation to Fetal Sex」
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」
- 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」
- Fejzo M. et al., Nature(2024)「GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy」
- kosodate LIFE「ママ50人の体験談:つわりで性別判断できる?」
- 産婦人科オンラインジャーナル「赤ちゃんの性別はいつ分かる?」

(出典: つわり ひどい 性別(Yahoo!ニュース))