宮内庁とは何をする機関?組織・予算・宮内省との違いを2026年最新解説
宮内庁とは、天皇皇后両陛下や皇族方の活動を支え、皇室に関係する国家事務を担当する日本の行政機関です。内閣府に置かれ、内閣総理大臣の管理の下で、宮中行事や外国との親善、皇居などの施設管理、皇室に伝わる文化財の保存といった幅広い業務を担っています。
2026年現在、宮内庁の定員は1,067人で、令和8年度の皇室費は約125億8,300万円、宮内庁費は約130億1,925万円です。また、2026年10月24日には皇室典範等の改正法が施行され、皇族の身分や婚姻に関する制度にも変更がありました。宮内庁法に定められた権限、組織図、職員の仕事内容、宮内省との歴史的な違いを整理すると、その役割がより明確になります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 宮内庁の正体:内閣府に置かれ、内閣総理大臣の管理の下で皇室関係の国家事務を担当する行政機関。
- 組織と規模:侍従職・皇嗣職・式部職・書陵部・管理部などで構成され、2026年度末の定員は1,067人。
- 予算の違い:皇室の活動や生活などに関係する皇室費と、宮内庁の組織運営に使う宮内庁費は別の予算。
- 歴史的な変化:1947年に宮内省から宮内府へ、1949年に宮内庁となり、2001年から内閣府に置かれている。
- 2026年の最新動向:10月24日に皇室典範等の改正法が施行され、皇族の婚姻や養子制度に関する仕組みが変更された。
【まず結論】宮内庁とは何をする機関?内閣府との関係と宮内庁法を解説
宮内庁は、皇室を支えるために設置された国の行政機関です。単に天皇や皇族の日常生活を補助する組織ではなく、皇室に関する制度、儀式、外交的な接遇、施設管理、文化財保護など、法律に基づく幅広い国家事務を担当しています。
その法的な位置づけを定めているのが宮内庁法(昭和22年法律第70号)です。同法第1条では、内閣府に内閣総理大臣の管理に属する機関として宮内庁を置くことが定められています。
つまり、宮内庁は独立した省庁ではありません。内閣府に置かれ、内閣総理大臣の管理の下で行政事務を行う機関です。
宮内庁と内閣府はどのような関係なのか
宮内庁と内閣府の関係を理解するうえで重要なのは、宮内庁が皇室関係の国家事務を担当する一方、その行政組織としての位置づけは内閣府にあるという点です。
内閣府は、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整などを担う行政機関です。その中に宮内庁が置かれ、宮内庁長官を中心に皇室関係の実務が進められています。
ただし、内閣府が天皇の活動を自由に決定できるという意味ではありません。天皇は日本国憲法第1条に定められた日本国および日本国民統合の象徴であり、政治上の権能を持ちません。国事行為についても、憲法第3条に基づき内閣の助言と承認が必要です。
宮内庁は、こうした憲法上の仕組みを踏まえ、必要な書類の取り扱い、儀式の準備、外国大使の接受に関する事務などを担当しています。
宮内庁法で定められている主な仕事
宮内庁法第2条には、宮内庁が担当する事務が具体的に列挙されています。主なものは次のとおりです。
- 皇室制度の調査に関すること
- 天皇皇后両陛下や皇族方の行幸啓に関すること
- 皇室における賜与や受納に関すること
- 皇室会議や皇室経済会議に関すること
- 御璽・国璽の保管
- 天皇や皇族の側近に関すること
- 宮中儀式や外国との交際に関すること
- 雅楽や皇統譜に関すること
- 陵墓や皇室関係の記録の管理
- 皇室用財産の管理
- 正倉院宝物や御料牧場に関すること
このように、宮内庁の仕事は皇室の日常的な支援から、日本の歴史や伝統に関わる文化財の保存まで広がっています。
宮内庁長官の役割と権限
宮内庁のトップに位置するのが宮内庁長官です。宮内庁長官は、宮内庁全体の事務を統括し、内部部局や各職員が担当する業務の調整、組織運営、人事、予算などの行政実務を担います。
宮内庁長官は、天皇や皇族に対して政治的な指揮権を持つ人物ではありません。宮内庁法などで定められた行政機関としての職務を統括する立場です。
また、宮内庁長官は認証官に位置づけられています。認証官とは、任免について天皇の認証を必要とする官職です。宮内庁の公式説明によると、任官者は内閣総理大臣から辞令書を受け、その際に天皇陛下からお言葉があるのが慣例となっています。
宮内庁長官は、皇室会議の議員も務めます。この点からも、行政組織の運営だけでなく、皇室制度に関係する重要な公的役割を担っていることが分かります。
【組織図を徹底解説】宮内庁の組織構成と各部署の仕事内容
宮内庁の組織は、宮内庁長官と宮内庁次長を中心に、長官官房、侍従職、上皇職、皇嗣職、式部職、書陵部、管理部などで構成されています。
2026年4月1日現在の公式組織図では、皇室の方々を直接支える部署だけでなく、儀式、歴史資料、陵墓、建築、庭園、食事、文化財などを専門的に担当する組織が設けられています。
長官官房:宮内庁全体を支える管理部門
長官官房は、宮内庁全体の行政事務を支える中枢です。秘書課、総務課、宮務課、主計課、用度課などが置かれています。
秘書課は、皇室会議や皇室制度の調査、人事、公文書の取り扱いなどを担当します。総務課は、天皇皇后両陛下の行幸啓、一般参賀、広報、報道対応などに関わります。
主計課は予算や決算、会計を担当し、用度課は備品や消耗品などの管理を行います。宮内庁病院も長官官房に関係する組織として設置されています。
侍従職:天皇皇后両陛下と敬宮殿下を支える
侍従職は、天皇皇后両陛下と敬宮愛子内親王殿下の身近な事務を担当する部署です。
侍従長の統括の下に侍従次長、侍従、女官長、女官、侍医長、侍医などが配置されています。日常的なご活動の支援だけでなく、宮中行事や地方への行幸啓に関係する業務にも携わります。
また、御璽・国璽の保管も侍従職の重要な仕事です。
上皇職:上皇上皇后両陛下を支える部署
上皇職は、上皇上皇后両陛下の身近な事務を担当する組織です。上皇侍従長の下に、上皇侍従次長、上皇侍従、上皇女官長、上皇女官、上皇侍医長、上皇侍医などが置かれています。
侍従職と上皇職は名称が似ていますが、支援する対象が異なります。それぞれの活動や日常生活に関係する事務を担当する体制です。
皇嗣職:皇嗣とそのご家族を支える部署
皇嗣職は、皇位継承順位に関係する皇嗣を支える部署です。皇嗣職大夫の統括の下、皇嗣職宮務官長、皇嗣職宮務官、皇嗣職侍医長、皇嗣職侍医などが配置されています。
2026年の宮内庁公式組織案内では、秋篠宮皇嗣同妃両殿下、佳子内親王殿下、悠仁親王殿下の身近な事務を担当しています。
式部職:宮中儀式や外国との交流を担当
式部職は、宮中で行われる儀式や外国との交際に関する事務を担当する部署です。
具体的には、新年祝賀の儀、歌会始の儀、園遊会、外国の賓客を迎える行事、外国訪問に関する事務などがあります。
また、雅楽や洋楽、鴨場接待なども担当しています。式部職には儀式を担当する部門と外国交際を担当する部門があり、日本の伝統文化と国際親善の両方に関わっています。
書陵部:皇室の歴史資料や陵墓を管理
書陵部は、皇室に伝わる歴史資料や記録、皇統譜、陵墓などを担当する部署です。
図書課では皇統譜の調製・登録・保管や古文書などの管理を行い、編修課では歴代天皇や皇族の実録を編修します。陵墓課は陵墓の管理、調査、考証を担当しています。
全国にある陵墓は、多摩、桃山、月輪、畝傍、古市の5つの陵墓監区事務所に分けて管理されています。
管理部:皇居・御用邸・庭園などの維持管理
管理部は、皇居や皇室関連施設の維持管理を担います。管理課、工務課、庭園課、大膳課、車馬課、宮殿管理官などで構成されています。
建物の修繕や設備管理、庭園の維持、宮中行事で提供される食事の調理、自動車や馬車の管理など、業務は多岐にわたります。
那須御用邸、須崎御用邸、葉山御用邸にはそれぞれ管理事務所が設けられています。また、皇居東御苑の管理も担当しています。
正倉院事務所と京都事務所
宮内庁には、内部部局のほかに施設等機関や地方支分部局もあります。
正倉院事務所は、正倉院宝物や聖語蔵経巻の保存管理、調査研究、修補、復元模造などを担当しています。正倉や宝庫などの建物・土地の管理も重要な仕事です。
京都事務所は、京都御所、京都大宮御所、京都仙洞御所、桂離宮、修学院離宮などの管理を担当します。京都にある皇室関連施設の維持や参観に関する事務も行っています。
このように、宮内庁は皇室の身近な支援だけでなく、日本の歴史的建造物や貴重な文化財を次世代へ引き継ぐ役割も担っています。
【仕事内容の実態】侍従職・式部職・皇嗣職と御璽・国璽の役割
宮内庁の仕事内容を理解するには、部署の名称だけでなく、実際の業務がどのように進められているかを見ることが大切です。
2026年度の宮内庁一般職採用案内には、職員による具体的な仕事内容の紹介があります。そこからは、宮内庁の仕事が儀式の準備だけでなく、現地調査、関係機関との調整、法令確認、報道対応、予算管理など、一般行政機関と共通する専門業務を多く含んでいることが分かります。
行幸啓は数か月から1年以上前から準備する
天皇皇后両陛下が地方を訪問される行幸啓では、式典主催者や自治体、関係省庁、皇宮警察などとの調整が必要になります。
宮内庁の職員紹介によると、担当者は訪問先の事前調査を行い、出席者、移動経路、滞在時間、宿泊先などを確認します。地方での大規模な行事では、準備期間が数か月から1年以上に及ぶこともあります。
当日も関係機関との連絡や調整を行い、予定どおりに行事が進むよう支援します。皇室の公的活動を支える仕事には、綿密な計画と現場での判断が欠かせません。
宮中儀式を支える式部職の専門性
式部職の仕事は、儀式当日の進行管理だけではありません。関係省庁との調整、式次第の確認、会場準備、外国賓客への対応など、事前の事務作業も数多くあります。
2026年度の採用案内では、職員の担当業務として認証官任命式や信任状捧呈式、講書始の儀、歌会始の儀などが紹介されています。雅楽演奏会や園遊会、外国との親善行事なども式部職が関わる業務です。
御璽と国璽は何が違うのか
宮内庁の仕事の中でも、一般にはあまり知られていないものが御璽・国璽の保管です。どちらも国の重要な公文書などに使用される印ですが、役割は異なります。
御璽(ぎょじ)は、天皇の御印です。「天皇御璽」と刻まれており、詔書、法律・政令・条約の公布文、条約の批准書、大使や公使の信任状などに押印されます。
一方、国璽(こくじ)は、「大日本国璽」と刻まれた国の印です。宮内庁の公式説明では、勲記に押印されるものとされています。
この2つは同じ印ではありません。御璽は天皇の御印、国璽は国の印という違いがあります。保管は侍従職が担当し、重要な公的手続きに関わっています。
皇居・京都御所・御用邸の管理も宮内庁の仕事
皇居や京都御所、御用邸は、歴史的価値を持つ建造物であると同時に、皇室の活動を支える施設でもあります。
宮内庁の管理部は、建物の修繕、設備の更新、庭園や樹林の維持管理、宮殿の運営などを担当しています。京都事務所は京都御所や桂離宮、修学院離宮などを管理しています。
また、正倉院事務所では奈良時代以来の歴史を持つ正倉院宝物などを保存・研究しています。陵墓課は全国に所在する陵墓の維持管理や調査を担当します。
宮内庁は、皇室の活動を支える行政機関であると同時に、日本の歴史的な財産を管理する機関でもあるのです。
【2026年度の予算・職員数】皇室費と宮内庁費は何が違う?
宮内庁関係の予算は、大きく分けて皇室費と宮内庁費の2種類です。名前が似ているため混同されがちですが、使い道も会計上の取り扱いも異なります。
2026年度の宮内庁公式予算資料によると、皇室費は約125億8,300万円、宮内庁費は約130億1,925万円です。
2026年度の予算比較
| 区分 | 2026年度予算 | 主な使い道・特徴 |
|---|---|---|
| 皇室費 | 125億8,300万円 | 内廷費・皇族費・宮廷費の合計 |
| 内廷費 | 3億2,400万円 | 天皇・上皇・内廷にある皇族の日常生活などの費用 |
| 皇族費 | 2億5,529万円 | 皇族としての品位保持などに充てる費用 |
| 宮廷費 | 120億392万円 | 宮中儀式、外国賓客の接遇、行幸啓、施設整備など |
| 宮内庁費 | 130億1,925万円 | 宮内庁の職員の人件費、事務費、組織運営費など |
| 宮内庁の定員 | 1,067人 | 特別職70人、一般職997人 |
皇室費は3つの費用に分かれている
皇室費は、皇室経済法第3条に基づき、内廷費・皇族費・宮廷費の3種類に分類されています。
内廷費は、天皇、上皇、内廷にある皇族の日常生活などに充てられる費用です。2026年度は3億2,400万円です。重要なのは、内廷費として支出されたお金は御手元金となり、宮内庁が経理する公金にはならない点です。
皇族費は、皇族としての品位を保つための費用です。各宮家の皇族に対して年額で支給されます。2026年度の皇族費総額は2億5,529万円です。こちらも支出された後は各皇族の御手元金となり、宮内庁の経理する公金ではありません。
宮廷費は、皇室の公的な活動に必要な費用です。宮中儀式、国賓や公賓の接遇、外国訪問、行幸啓、皇室用財産の管理、皇居などの施設整備に使われます。2026年度は120億392万円で、宮内庁が経理する公金です。
宮内庁費は職員や組織を運営するための予算
宮内庁費は、宮内庁という行政機関を運営するための経費です。職員の人件費、事務費、業務に必要な経費などが中心となっています。
したがって、皇室費をそのまま宮内庁職員の給与や庁舎運営に使う予算と考えるのは正確ではありません。皇室の活動や生活に関係する費用と、それを支える行政機関の運営費は、制度上区別されています。
宮内庁の職員数は1,067人
宮内庁の公式資料によると、2026年度末の定員は合計1,067人です。その内訳は、特別職70人、一般職997人となっています。
特別職には宮内庁長官、侍従長、上皇侍従長、皇嗣職大夫、式部官長などが含まれます。一般職には、宮内庁次長以下の内閣府事務官や内閣府技官などが配置されています。
この数字は2026年度末の定員であり、特定の日に実際に勤務している職員数と必ずしも同じではありません。
なお、2026年度の皇室費と宮内庁費を合わせた予算規模は約256億200万円です。予算を見るときは、単純な合計だけでなく、それぞれのお金が何に使われ、誰が経理するのかを区別することが大切です。
【歴史を比較】宮内省から宮内府、そして宮内庁へ変わった理由
現在の宮内庁を理解するには、戦前の宮内省との違いを知る必要があります。宮内省と宮内庁は名称が似ていますが、設置された時代の政治制度や組織の役割は大きく異なります。
宮内省とは何だったのか
宮内省は、戦前の日本に存在した皇室関係の行政機関です。明治時代には皇室典範や宮内省官制などによって制度が整えられ、皇室に関する幅広い事務を担当していました。
宮内庁の沿革資料によると、明治41年には皇室令による宮内省官制が施行され、宮内大臣は皇室の事務について天皇を輔弼する機関と位置づけられていました。
終戦当時の宮内省には、侍従職、式部職、図書寮、諸陵寮、大膳寮などの部局が置かれていました。さらに、正倉院管理署、帝室博物館、帝室林野局などの組織も関係していました。
1947年に宮内府へ変更
大きな転換点となったのは、1947年5月3日の日本国憲法施行です。
戦後の制度改革に伴い、宮内省の事務は他の政府機関へ移管されたり、分離独立したりしました。組織も大幅に縮小され、宮内省は宮内府へと改められました。
宮内庁の沿革資料によると、終戦当時6,200人余りだった職員は、宮内府発足時には1,500人弱にまで減少しています。これは、戦前の宮内省と戦後の宮内府・宮内庁では、組織の規模や行政上の役割が大きく異なることを示す数字です。
1949年に宮内庁が発足
1949年6月1日、総理府設置法の施行に伴い、宮内府は宮内庁へと改められました。当時は総理府の外局として設置され、宮内庁長官と宮内庁次長を中心とした組織となりました。
2001年から内閣府に設置
さらに2001年1月6日、中央省庁等改革に伴う内閣府設置法の施行によって、宮内庁は内閣府に置かれることになりました。
現在の宮内庁は、戦前の宮内省をそのまま引き継いだ組織ではありません。日本国憲法の下で皇室関係の国家事務を担当する行政機関として再編された組織です。
【皇室会議と2026年の最新改正】宮内庁は皇室制度にどう関わる?
宮内庁と皇室制度の関係を考えるうえで欠かせないのが皇室会議です。皇室会議は、皇室典範に定められた重要事項を審議する機関であり、宮内庁とは別の意思決定の仕組みを持っています。
皇室会議の構成は10人
皇室会議は、皇室典範第28条などに基づいて設置される機関です。議員は合計10人で、皇族2方、衆議院議長・副議長、参議院議長・副議長、内閣総理大臣、宮内庁長官、最高裁判所長官、最高裁判所判事1人で構成されます。
この構成から分かるように、皇室会議は宮内庁だけで構成される組織ではありません。皇族、国会、内閣、司法の各分野が関係する制度上の会議です。
宮内庁長官は議員として参加し、長官官房秘書課は皇室会議に関する事務を担当しています。
皇室会議が審議する主な事項
皇室会議の審議事項には、皇位継承の順序変更、皇族の婚姻、皇族の身分の離脱、摂政の設置・廃止、摂政の順序変更などがあります。
皇室会議は、皇室の重要な制度上の判断に関わる機関ですが、宮内庁が単独で皇位継承や皇族の身分を決定するわけではありません。
2026年10月24日に施行された皇室典範等の改正
2026年の重要な動きとして、皇室典範等の一部を改正する法律(令和8年法律第66号)があります。この法律は2026年7月24日に公布され、同年10月24日に施行されました。
内閣官房が公表した改正概要によると、今回の改正は皇族数の減少を踏まえ、皇族数を確保するための措置を講じることを目的としています。
主な変更点は次の2つです。
- 内親王・女王の婚姻に関する変更:内親王や女王は、天皇および皇族以外の男性と結婚しても、原則として皇族の身分を離れない制度になりました。その婚姻には皇室会議の議を経ることが必要です。
- 皇族の養子制度に関する変更:皇族男子であった者の男系の子孫である、現在は皇族でない男子を養子として迎える制度が設けられました。
なお、施行時点で皇族である内親王・女王については、一定の条件の下で、婚姻と同時に本人の意思によって皇族の身分を離れることができる経過措置も設けられています。
今回の改正によって、皇室会議の審議事項や皇室関係の行政事務にも新しい制度への対応が必要になりました。宮内庁は、皇室制度の調査や皇室会議に関する事務、皇統譜の管理などを通じて、改正後の制度を支える立場にあります。
2026年の宮内庁を理解するうえでは、組織や予算だけでなく、こうした皇室制度の変更も押さえておく必要があります。
【宮内庁職員になるには】採用条件・仕事内容・求められる能力
宮内庁の職員は、一般の国家公務員と同様に、採用試験や面接などを経て採用されます。皇室に関わる特殊な職場という印象があるかもしれませんが、事務、技術、建築、庭園管理、文化財保存など、多様な専門分野の職員が働いています。
一般職は国家公務員採用試験から採用
宮内庁の公式採用案内によると、一般職の採用は、人事院が実施する国家公務員採用試験の合格者の中から面接によって行われます。
主な採用試験は、一般職大卒程度試験と一般職高卒者試験です。行政系の事務職だけでなく、技術系の職種などについても採用情報が掲載されることがあります。
また、任期付職員や非常勤職員など、一般職の採用試験とは別の採用情報が案内される場合もあります。実際の応募資格や選考方法は、募集区分ごとの案内を確認する必要があります。
宮内庁で働くために求められる能力
宮内庁は、採用案内で、社会の動きや人々の心に対する洞察力、日本の歴史や伝統への関心と理解、業務における細かな配慮、積極性などを備えた人材を求めています。
皇室の活動は、儀式や行事だけで完結するものではありません。自治体や省庁、報道機関、施設管理の専門家など、多くの関係者との調整が必要になります。
そのため、一般的な行政能力に加えて、正確な事務処理、守秘義務への理解、関係者と協力する調整力なども求められます。
実際の仕事は事務職だけではない
2026年度の宮内庁採用パンフレットでは、職員の具体的な仕事として、次のような業務が紹介されています。
- 法令関係:各省庁からの法律・政令に関する照会、庁内規則の制定、公文書の審査。
- 報道関係:プレスリリースの発表、取材対応、行幸啓に伴う現地での報道調整。
- 会計関係:各部局の予算要求の取りまとめ、決算、財務省との予算折衝。
- 施設管理:皇居や御用邸などの国有財産の管理、建築・土木工事、設備の維持。
- 庭園管理:庭園や樹林の維持、園芸に関する専門業務。
- 文化財管理:正倉院宝物や皇室伝来の古文書などの保存管理。
宮内庁で働くことは、必ずしも皇族の身近で勤務することを意味しません。行政実務や専門技術を通じて皇室の活動を支える仕事も数多くあります。
また、皇室の歴史や伝統に興味があるだけでなく、地道な調整業務や正確性が求められる事務作業にも責任を持って取り組める人が、宮内庁の仕事に適していると考えられます。
【宮内庁とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:宮内庁は国の機関ですか?それとも皇室の私的な組織ですか?
A1:宮内庁は国の行政機関です。宮内庁法に基づいて内閣府に設置され、内閣総理大臣の管理の下で皇室関係の国家事務を担当しています。皇室の私的な組織ではありません。
Q2:宮内庁と宮内省は同じ組織ですか?
A2:同じではありません。宮内省は戦前の皇室関係機関で、1947年に宮内府へ改組され、1949年に宮内庁となりました。戦後の憲法や行政制度に合わせて組織や役割が大きく変更されています。
Q3:皇室費と宮内庁費は何が違いますか?
A3:皇室費は、内廷費・皇族費・宮廷費の3つからなり、皇室の日常生活や公的活動などに関係する費用です。宮内庁費は、宮内庁の職員の人件費や事務費など、行政機関としての運営に必要な費用です。
Q4:宮内庁の職員数は何人ですか?
A4:2026年度末の定員は1,067人です。内訳は特別職70人、一般職997人です。これは年度末の定員であり、実際の在職者数とは異なる場合があります。
Q5:宮内庁に入るには特別な資格が必要ですか?
A5:一般職の場合、人事院が実施する国家公務員採用試験の合格者から面接によって採用されます。一般職大卒程度試験や一般職高卒者試験などがあり、技術職や任期付職員などの募集が行われることもあります。
Q6:御璽と国璽はどちらも宮内庁が管理しているのですか?
A6:はい。宮内庁が保管しており、実務上は侍従職が担当しています。御璽は天皇の御印で、法律や条約の公布文などに押印されます。国璽は国の印で、勲記に押印されます。
まとめ:宮内庁の役割を知るなら組織・予算・法律の3点が重要
宮内庁とは、皇室を支えるとともに、皇室関係の国家事務を担当する日本の行政機関です。内閣府に設置され、宮内庁法を根拠として、宮中儀式、皇族方の活動支援、外国との親善、皇居などの施設管理、文化財や陵墓の保存管理などを行っています。
2026年現在の組織は、長官官房、侍従職、上皇職、皇嗣職、式部職、書陵部、管理部などから構成され、年度末の定員は1,067人です。令和8年度の予算は、皇室費が約125億8,300万円、宮内庁費が約130億1,925万円となっています。
また、2026年10月24日に施行された皇室典範等の改正は、皇族の婚姻や養子制度に関する重要な制度変更です。宮内庁は、皇室会議に関する事務や皇統譜の管理などを通じ、新しい制度の運用を支えています。
【プロの結論】
宮内庁を理解するうえで最も重要なのは、皇室を支える仕事と、国の行政機関として行う仕事を区別することです。皇室費と宮内庁費の違い、宮内庁長官と皇室会議の役割、宮内省から宮内庁への制度変更を理解すれば、ニュースで報じられる皇室関係の出来事も、より正確に読み解けます。
宮内庁は、皇室の日常を支える組織であると同時に、日本の歴史や伝統、文化財を守り、憲法と法律に基づいて皇室関係の国家事務を遂行する機関です。今後も2026年の制度改正の運用や組織・予算の動向を確認することが、宮内庁の現在の役割を理解するうえで重要になります。
主な参照資料: 宮内庁「組織・所掌事務」「沿革」「予算」「職員」「職員採用」「令和8年度宮内庁一般職採用案内」、内閣官房「皇室典範等の改正」、e-Gov法令検索「宮内庁法」「皇室典範」「皇室経済法」。
(出典: 宮内庁 と は(Yahoo!ニュース))