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日本人宇宙飛行士の現在と月面着陸|歴代一覧から年収・倍率まで

萩原 圭太 萩原 圭太 • 更新: • 公開: • 読了約 14 分
目次

人類が再び月を目指す国際宇宙探査プロジェクト「アルテミス計画」が本格化するなか、日本人宇宙飛行士が史上初めて月面に降り立つ日が目前に迫っています。日米両政府の合意により、日本人2名に月面着陸の機会が割り当てられることが確定し、日本の宇宙開発はこれまでの国際宇宙ステーション(ISS)滞在を中心とした地球低軌道利用から、深宇宙探査という新たなフロンティアへ舵を切りました。

2023年に選抜され、基礎訓練を経て正式にJAXA宇宙飛行士として認定された米田あゆ氏と諏訪理氏の合流により、日本の現役宇宙飛行士チームは強固な布陣を整えています。過酷を極める選抜試験の実態や知られざる給与体系、そして「誰が最初に月へ行くのか」という最大の関心事について、最新の取材データを交えて多角的に解説します。

【2026年最新】歴代日本人宇宙飛行士は全14名!実績と経歴一覧

日本人宇宙飛行士

1990年に元TBS記者の秋山豊寛氏が民間人として初めて宇宙へ到達して以来、日本は世界屈指の宇宙飛行士輩出国としての地位を築いてきました。JAXA(旧NASDA)が選抜した正規の宇宙飛行士はこれまでに計13名、民間搭乗を含めると通算14名の日本人が宇宙へ飛び立ち、あるいは訓練を重ねています。

ベテラン世代の牽引により、日本はISSの日本実験棟「きぼう」の安定運用や補給船「こうのとり」の運用で国際的な信頼を不動のものにしました。通算5回の宇宙飛行を達成した若田光一氏や、船外活動のパイオニアである野口聡一氏がJAXA退職後に民間の宇宙ベンチャーや学術機関で知見を還元する一方、現役陣も強力な実績を残しています。

氏名 選抜年 主な経歴・前職 宇宙飛行実績・現状
秋山 豊寛 1989年(民間) TBS記者 日本人初の宇宙飛行(ソユーズTM-11)
毛利 衛 1985年 北海道大学助教授(工学博士) スペースシャトル搭乗2回(退職)
向井 千秋 1985年 慶應義塾大学病院 心臓外科医 アジア系女性初、2回搭乗(退職)
土井 隆雄 1985年 東京大学宇宙航空研究所 研究員 日本人初の船外活動、2回搭乗(退職)
若田 光一 1992年 日本航空 機体技術者 宇宙飛行5回、日本人初のISS船長(退職)
野口 聡一 1996年 石川島播磨重工業 エンジニア 3種の異なる宇宙船で飛行(退職)
星出 彰彦 1999年 宇宙開発事業団(NASDA)職員 宇宙飛行3回、ISS船長経験(現役)
山崎 直子 1999年 NASDA システムエンジニア STS-131搭乗(退職)
古川 聡 1999年 東京大学医学部附属病院 外科医 ISS長期滞在2回達成(現役)
油井 亀美也 2009年 航空自衛隊 テストパイロット ISS長期滞在搭乗(現役)
大西 卓哉 2009年 全日本空輸(ANA)旅客機パイロット ISS長期滞在搭乗(現役)
金井 宣茂 2009年 海上自衛隊 潜水医官 ISS長期滞在搭乗(現役)
諏訪 理 2023年 世界銀行 上級防災専門官 JAXA正規認定、月探査訓練中(現役)
米田 あゆ 2023年 日本赤十字社医療センター 外科医 JAXA正規認定、月探査訓練中(現役)

現在JAXAに所属する現役宇宙飛行士は、星出彰彦氏、古川聡氏、油井亀美也氏、大西卓哉氏、金井宣茂氏、諏訪理氏、米田あゆ氏の7名体制です。極めてバランスの取れた世代構成となっており、ベテランの安定した運用能力と若手の柔軟性が高度に融合しています。

アルテミス計画で日本人初の月面着陸へ!選ばれるのは誰か?

現在、世界の宇宙開発における最大の焦点は米国主導の国際月探査「アルテミス計画」です。日本政府は文部科学省主導のもと、与圧型ローバ(有人月面探査車=通称ルナ・クルーザー)の開発・提供をコミットした見返りとして、日本人宇宙飛行士2名分の月面着陸枠を確保しました。

アポロ計画以来半世紀ぶりとなる有人月面探査において、非アメリカ人として最初に月面に足跡を残すのが日本人になる可能性は極めて高く、国内外から熱い視線が注がれています。

月面着陸ミッションの座を射止めるのは誰なのか。JAXA内部および関係者の間では、次の2つのシナリオが有力視されています。

  • 実戦経験重視のベテラン・中堅起用:極限環境下での船外活動やトラブル対処実績を重視する場合、ISS滞在経験が豊富でロボティクス技術や緊急時対応に長けた大西卓哉氏、油井亀美也氏、金井宣茂氏のいずれかが初代コマンダー級として選ばれる公算が高い。
  • 次世代の象徴としての新世代起用:長期的な月面拠点構築や持続的探査を見据える場合、医師としての生体管理能力と若さを持つ米田あゆ氏、あるいは国際機関でのマネジメント能力に長けた諏訪理氏を月周回拠点「ゲートウェイ」および月面探査へ早期投入する構成が現実味を帯びる。

日米の合意に基づき、1人目の月面着陸は2028年以降のミッションで調整が進められており、2人目の着陸は開発中の与圧ローバが月面に投入されるタイミングに合わせて派遣される見込みです。

次世代を担う米田あゆ・諏訪理の現在|基礎訓練完了とアサイン動向

2023年2月に約4,100人を超える応募者の中から選ばれた米田あゆ氏と諏訪理氏は、約1年半に及ぶ過酷な基礎訓練を修了し、正式にJAXA宇宙飛行士として認定されました。現在2名はNASAジョンソン宇宙センター(ヒューストン)やJAXA筑波宇宙センターを拠点に、ISS滞在およびアルテミス計画に向けた高度訓練へと移行しています。

米田あゆ氏は、東京大学医学部を卒業後、日本赤十字社医療センター等で外科医として勤務していたキャリアを持ちます。向井千秋氏、山崎直子氏に続く日本人女性として3人目の宇宙飛行士であり、選抜当時は28歳の史上最年少タイ合格として大きな脚光を浴びました。過酷な環境下での即応判断力や外科医仕込みの精密な作業能力は、月面での医学・生物実験において圧倒的なアドバンテージを発揮します。

一方の諏訪理氏は、東京大学理学部からデューク大学大学院を経て、青年海外協力隊や世界銀行で防災・気候変動対策の専門官を務めた異色の経歴を持ちます。過去最年長(46歳)での選抜合格となりましたが、国際機関でのタフな交渉力と地球科学に関する深い知見は、多国籍クルーが混成する深宇宙探査チームにおいて不可欠なリーダーシップの源泉です。

2名はすでにT-38ジェット練習機による操縦訓練、無重量環境を模擬した中性浮力施設での船外活動訓練、地質調査フィールドワークなどを順調に消化しており、早ければ今後1〜2年以内に最初のフライト割り当て(アサイン)が発表される見通しです。

宇宙飛行士選抜試験の倍率は過去最高!学歴・応募条件と合格への経緯

2021年から2023年にかけて実施されたJAXAの宇宙飛行士選抜試験は、従来の選考基準を根本から覆す歴史的な転換点となりました。最も象徴的だったのが、長年課されていた「4年制大学(自然科学系)卒業」という学歴要件の完全撤廃です。

応募条件が「3年以上の実務経験」へと大幅に緩和された結果、応募総数は過去最多となる4,127名に達し、最終合格者2名に対する競争倍率は約2,063倍(約2,200倍)という天文学的な数値を記録しました。

選考ステージ 主な試験内容 通過者数 / 倍率
書類選考・資質検査 英語試験、経歴審査、一般教養・適性検査 4,127名 → 約2,200名
第0次〜第1次選抜 STEM分野試験、総合適性検査、医学検査(スクリーニング) 約2,200名 → 約200名 → 50名
第2次選抜 詳細な医学検査、多面的な面接試験 50名 → 10名
第3次選抜(最終) 閉鎖環境適応訓練、プレゼン試験、役員面接 10名 → 2名合格(倍率:約2,063倍)

歴代宇宙飛行士の出身大学を紐解くと、東京大学、京都大学、慶應義塾大学など国内トップクラスの難関校が並ぶのは事実です。しかし、近年の選考で最も重視されているのはペーパーテストの学力ではなく、「未知の極限状態におけるフォロワーシップと精神的回復力(レジリエンス)」です。チーム内でエゴを捨てて他者を支え、危機的状況でも冷静沈着に対話できる人間性が、膨大なスクリーニングを通じて徹底的に精査されます。

知られざる宇宙飛行士の年収・給料事情|JAXA職員の待遇とボーナス

危険と隣り合わせの任務に挑む宇宙飛行士ですが、その給与体系は一般に想像されるような「1フライト数億円」といった莫大な報酬ではありません。JAXAの宇宙飛行士は国立研究開発法人の正規職員という身分であり、基本給は国の一般職国家公務員の給与体系に準拠して決定されます。

JAXAが公表している職員給与規程や選抜時の募集要項に基づくと、推定される年収レンジは以下の通りです。

  • 30歳前後(初任段階):年収約800万〜900万円(諸手当・賞与を含む)
  • 40代(現役ベテラン期):年収約1,000万〜1,200万円前後
  • 管理職クラス(フライトディレクター兼務等):年収約1,300万円〜

民間のパイロットや外資系投資銀行、大手総合病院の医師などから転職する場合、前職よりも額面年収が下がることが大半です。宇宙飛行士手当や危険手当、米国ヒューストン等への長期在外勤務に伴う赴任手当・住居手当は手厚く支給されますが、宇宙飛行士という職業を選ぶ動機は、金銭的インセンティブではなく人類の未踏領域へ挑む使命感と情熱です。

宇宙飛行士になるには?資格条件と求められる3大スキル

JAXAは今後も継続的に宇宙飛行士の採用を行う方針を明言しています。かつては雲の上の存在だった宇宙飛行士ですが、門戸はこれまでになく開かれています。応募に向け、押さえておくべき主要要件とスキルセットを整理します。

応募資格における基本ラインは極めてシンプルです。「3年以上の社会人実務経験」と、宇宙服のサイズ規格に適合する身長制限(149.5cm以上190.5cm以下)、通常業務に支障のない医学的適格性(視力は矯正で1.0以上、色覚・聴力正常)が主たる条件となっています。

そのうえで、選抜を突破するために必須とされる能力は以下の3点に集約されます。

  1. ハイレベルな英語コミュニケーション能力:NASAやESA(欧州宇宙機関)の多国籍チームとミリ秒単位の指示を誤解なくやり取りするため、実践的な英語運用力(TOEIC900点レベル以上が実質的な目安)が前提となります。
  2. 自己管理能力と多文化協調性:閉鎖空間で数ヶ月間、文化的背景が異なる仲間と良好な関係を保ちながら最大のパフォーマンスを発揮するスキルが問われます。
  3. 柔軟な専門性の拡張力:自らのバックグラウンド(工学、医療、行政、パイロット等)に固執せず、地質学からプログラミング、生命維持システムの配管修理まで貪欲に習得するキャパシティが要求されます。

【日本人宇宙飛行士】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:日本人で初めて宇宙に行った人と、JAXAで初めて宇宙に行った人は誰ですか?
A1:日本人として初めて宇宙に到達したのは、1990年にソ連のソユーズで宇宙へ行ったTBS記者の秋山豊寛氏です。一方、日本の宇宙機関(当時NASDA、現JAXA)に所属する正規の宇宙飛行士として初めてスペースシャトルで宇宙へ飛んだのは、1992年の毛利衛氏です。

Q2:宇宙飛行士の選抜試験は次回いつ実施されますか?
A2:JAXAはアルテミス計画の長期運用およびISS退役後のポストISS時代を見据え、「5年に1回程度」の定期的な選抜を行う基本方針を掲げています。前回の選考が2021年末〜2023初頭にかけて実施されたため、次回は2026年後半から2028年にかけて新たな募集がアナウンスされる可能性が有力視されています。

Q3:宇宙飛行士に年齢制限や定年はありますか?何歳まで飛べますか?
A3:応募条件における年齢制限の上限は撤廃されています。JAXA職員としての定年規定は存在しますが、NASA等を含めた世界水準では50代後半〜60代で宇宙飛行を果たす飛行士も珍しくありません。健康状態と訓練基準をクリアし続ける限り、長期にわたって現役を継続できる環境が整っています。

地球を周回するISSの時代から、月、そして火星を目指す深宇宙探査の時代へ――。日本人宇宙飛行士が果たす役割は、これまで以上に大きく、重層的なものへと進化しています。若田氏や野口氏らが築き上げた国際的な信頼を土台に、ベテランの現役飛行士たちが技術を継承し、米田氏や諏訪氏ら新世代が月面のフロンティアを切り拓こうとしています。

日本人宇宙飛行士が月面に立ち、日本の国旗と人類の未来を背負って第一歩を記す瞬間は、もはや遠いSFの世界の話ではありません。白熱する宇宙開発の最前線から、今後も目が離せません。

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