都市伝説「メリーさんの電話」の正体は?1995年映画と怪談の真相を徹底解説
電話が鳴る。受話器を取ると、少女の声が聞こえる。「私、メリーさん。今、○○にいるの」。電話が切れ、しばらくすると再び着信する。今度は、さっきよりも近い場所にいる。そして最後の電話で告げられるのは、「今、あなたの後ろにいるの」という一言だ。
都市伝説「メリーさんの電話」は、捨てられた人形が持ち主を追いかけてくるという恐怖の怪談である。1995年公開の映画『学校の怪談』や、1999年刊行の斉藤洋による児童書にも登場し、平成の学校怪談を代表する話の一つとして知られてきた。ところが、記録をたどると、電話で接近する死者の話や、階段を舞台にした怪談など、よく似た構造を持つ別の伝承も見つかる。
2026年現在、メリーさんの電話はどこまで実在の記録に裏付けられているのか。1968年に始まったリカちゃん電話との関係、1995年の映画、1999年の児童書と民俗誌、松山ひろしの都市伝説研究資料を照らし合わせ、その成立背景と真相を整理する。
>📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
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> - 要点1: メリーさんの電話は、電話で現在地を伝えながら接近し、最後に背後へ現れるという反復型の都市伝説。
> - 要点2: 1995年の映画『学校の怪談』と1999年の斉藤洋の児童書が、平成期のメリーさんの認知を考える重要な資料となる。
> - 要点3: 1999年の民俗誌には電話で階を上がってくる死者の類話が記録されているが、超自然的な実在を証明する資料ではない。
【メリーさんの電話とは?】電話のたびに近づく人形の都市伝説
メリーさんの電話は、少女が不要になった人形を捨てたことから始まる怪談として知られている。
しばらくすると、少女のもとに見知らぬ電話がかかってくる。相手は自分をメリーさんと名乗り、今いる場所を伝える。最初は遠くにいたはずのメリーさんが、電話をかけてくるたびに少しずつ近づいてくる。
物語の基本的な流れは次のとおりだ。
1. 少女が古い人形を捨てる。
2. 数日後、人形を名乗る相手から電話がかかってくる。
3. 相手は現在地を告げ、電話を切る。
4. 次の電話では、さらに自宅に近い場所を告げる。
5. 最後には「今、あなたの後ろにいるの」と伝えてくる。
恐怖の中心は、電話の相手が人形であることだけではない。
本来、電話は遠く離れた相手と会話するための道具だ。しかし、この怪談では電話が鳴るたびに相手との距離が縮まる。声しか聞こえない相手が、いつの間にか自分のすぐ近くにいるという逆転が、物語に強い不気味さを与えている。
また、地域や語り手によって細部が異なる。人形の色や服装、捨てた場所、電話がかかってくる回数、最後に振り返るかどうかなどは一定していない。
それでも「電話による現在地の報告」と「段階的な接近」という二つの要素は、多くのバリエーションに共通している。
【正体と実在性】メリーさんは本当に電話をかけてくるのか?
メリーさんの電話の正体を考える際には、物語に登場する人形と、都市伝説として伝わってきた怪談そのものを区別する必要がある。
メリーさんの正体は捨てられた人形の幽霊?
一般的な語りでは、メリーさんは少女に捨てられた西洋人形の霊である。
持ち主に捨てられたことへの恨みや、再び持ち主に会いたいという執着が、人形を動かしているという設定だ。
ただし、メリーさんの名前の由来や、特定の実在する人形がモデルになったという確かな記録は確認されていない。
「メリー」という名前から外国製の人形を連想する人も多いが、それだけで特定の人形や実在事件に結びつけることはできない。
メリーさんの電話は実在する?
答えは、怪談としての存在と、超自然現象としての存在を分けて考える必要がある。
| 確認したいこと | 現在確認できる事実 |
|---|---|
| メリーさんの電話という怪談 | 実際に語り継がれてきた |
| 電話で接近する人形の幽霊 | 実在を証明する記録はない |
| 1995年の映画への登場 | 作品記録と出演者の公式情報で確認できる |
| 1999年の児童書 | 出版社と国立国会図書館の書誌で確認できる |
| 類似する電話怪談 | 1999年の民俗誌に記録がある |
| リカちゃん電話 | 1968年に始まった実在の電話サービス |
つまり、実在が確認できるのは、怪談を語り継いできた文化や、それを題材にした作品、類似する話の記録である。
人形が実際に電話をかけてきたという超常現象の証拠は存在しない。
この区別は、メリーさんの電話の真相を理解するうえで欠かせない。
【由来と経緯】1968年のリカちゃん電話から1995年の映画まで
メリーさんの電話の発祥年や発祥地は確定していない。ただし、怪談の成立を考えるうえで興味深い実在のサービスがある。
それが、タカラ(現タカラトミー)が開始した「リカちゃん電話」だ。
1968年:実在したリカちゃん電話
着せ替え人形のリカちゃんは1967年に誕生した。その翌年、1968年10月にはリカちゃん電話のサービスが始まっている。
タカラトミーの過去の公式資料によれば、専用回線を設けて録音されたリカちゃんの声を届けるサービスとして開始された。
人形が電話を通じて話しかけてくるという体験は、当時の子どもたちにとって身近で新鮮なものだった。
後年、この実在するサービスと人形にまつわる不気味な噂が、メリーさんの電話の由来として語られるようになった。
ただし、リカちゃん電話がメリーさんの電話を直接生み出したと証明する同時代の資料は確認されていない。
あくまで、電話と人形という二つの要素が結びつく文化的背景として考えるのが妥当だ。
1990年:学校の怪談ブームの広がり
1990年11月には、常光徹の『学校の怪談』第1巻が講談社KK文庫から刊行された。
学校のトイレや理科室、運動場など、子どもたちにとって身近な場所を舞台にした怪談を集めた書籍である。
1990年代には学校という日常空間に潜む怪異が児童書や映像作品を通じて広く知られるようになった。
メリーさんの電話も、こうした学校怪談・都市伝説の流通環境と重なりながら認知されていった。
1995年:映画『学校の怪談』に登場
1995年7月8日に公開された映画『学校の怪談』では、メリーさんが電話を通じて接近する場面が描かれている。
電話の相手が現在地を告げるたびに、学校の中で少しずつ近づいてくるという演出だ。
この映画は、現在知られているメリーさんの電話の特徴を映像として確認できる重要な作品である。
1999年:児童書と民俗誌に記録が残る
1999年2月には、斉藤洋作・かたおかまなみ絵の児童書『メリーさんの電話』が、あかね書房から刊行された。
同じ1999年には、栃木県宇都宮市の女子生徒が知っていた電話怪談や、十三段の階段にまつわる話も民俗誌『下野民俗』に記録されている。
この時期には、メリーさんの電話と似た構造を持つ話が、児童文学や民俗資料という異なる媒体に残されていた。
【1995年の映画と1999年の児童書】メリーさんの描かれ方はどう違う?
メリーさんの電話を調べるうえで、1995年の映画と1999年の児童書は特に重要な資料だ。
ただし、どちらも同じ内容をそのまま映像化・書籍化したわけではない。
映画『学校の怪談』では学校に接近する怪異として描写
映画『学校の怪談』は、平山秀幸監督、奥寺佐渡子脚本による1995年公開の日本映画である。
国立映画アーカイブの所蔵情報でも、1995年製作、101分の作品として記録されている。
劇中のメリーさんは、電話を通じて学校内の場所を告げながら接近する。
当直の教師が電話に出ると、相手は自分をメリーさんと名乗る。その後も電話が繰り返され、正門から校庭、花壇、昇降口へと距離が縮まっていく。
メリーさんの声を担当した宇野あゆみの公式サイトでも、映画への出演とメリーさん役(声のみ)が紹介されている。
注目したいのは、映画版では電話を受ける人物が少女ではなく教師であり、一般的な都市伝説にある「少女が人形を捨てた」という導入とも異なる点だ。
つまり、1995年の時点ですでに「電話で現在地を告げながら近づく」という恐怖の構造が映像作品に取り入れられていた。
斉藤洋『メリーさんの電話』は人形のおばけが登場する児童書
1999年2月、あかね書房から刊行された『メリーさんの電話』は、児童文学作家・斉藤洋による『ナツカのおばけ事件簿』シリーズの第1巻である。
挿絵はかたおかまなみが担当している。
あかね書房の公式紹介によると、物語では、おばけたいじ屋を開業したナツカとパパが、人形のおばけ「メリーさん」やトイレのおばけ「花子さん」と対決する。
映画とは異なり、こちらでは人形のおばけとしてのメリーさんが明確に作品の中心に置かれている。
国立国会図書館の書誌情報でも、1999年2月刊行、あかね書房出版、斉藤洋作という基本情報が確認できる。
この児童書の刊行は、メリーさんという名前と人形のおばけのイメージが、平成期の子ども向けコンテンツに定着していたことを示す資料の一つだ。
【階段怪談との共通点】1999年の民俗誌と松山ひろしの記録
メリーさんの電話を深く理解するには、電話以外の怪談にも目を向ける必要がある。
特に興味深いのが、階段を上るたびに怪異が近づいてくる話だ。
1999年『下野民俗』に記録された電話怪談
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースには、1999年刊行の『下野民俗』通巻39号に掲載された怪談が登録されている。
論文名は「高校生が知っている不思議な話」。執筆者は久野俊彦で、話者は栃木県宇都宮市の女子生徒と記録されている。
その内容は、親友だったA子とB子の物語だ。
B子はA子の家へ向かう途中で交通事故に遭い、亡くなってしまう。ところが数日後、死んだはずのB子からA子に電話がかかってくる。
電話の内容は、自分が今どの階にいるかという報告だった。
A子は4階に住んでいる。電話がかかってくるたびにB子のいる階が上がっていき、最後には背後にいると告げられる。
ここで重要なのは、この記録に登場するのは人形ではなく、亡くなった親友だという点だ。
それでも、電話を通じて相手の位置が少しずつ近づき、最後に背後へ現れるという構造は、メリーさんの電話と非常によく似ている。
十三段の階段にも独立した怪談が存在する
同じ『下野民俗』には、別の階段怪談も記録されている。
国際日本文化研究センターのデータベースによると、1999年の栃木県宇都宮市の記録には「十三段の階段」という話がある。
13段の階段は縁起が悪いとされ、階段を上って振り返ると、首のない人や首だけの人が見えるという内容だ。
また、学校では13段目の階段を踏んではならないという類話も記録されている。
このように、階段を上る行為そのものに恐怖を結びつける怪談は、電話で接近する怪談とは別の形でも伝わっていた。
東京子ども図書館『おはなしのろうそく27』との混同に注意
階段怪談を調べる際には、東京子ども図書館編『おはなしのろうそく27』という書名が関連情報として挙がることもある。
しかし、東京子ども図書館の公式収録作品一覧によると、27巻に収録されているのは次の5作品だ。
- がちょうはくちょう
- しおちゃんとこしょうちゃん
- 指輪
- 月を射る
- やっちまったことは やっちまったこと
この公式一覧には、十三段の階段やメリーさんの電話は掲載されていない。
したがって、同書を十三段怪談の直接的な出典として扱うことはできない。
松山ひろし『怖すぎる都市伝説』2013年の位置づけ
2013年3月29日には、都市伝説蒐集家・松山ひろしの『怖すぎる都市伝説』がイースト・プレスから刊行された。
出版社の公式目次によると、本書には66話が収録されており、第3部「不気味な話」の第28夜には「十三段」が置かれている。
これは、平成期に階段系の怪談が都市伝説資料として整理・紹介されていたことを示す。
なお、松山ひろしの2012年刊『怖すぎる話―真夜中の都市伝説』は、2003年刊『3本足のリカちゃん人形』を改題・再構成した別の書籍である。こちらの国立国会図書館の紹介文には、リカちゃん電話と、電話のたびに居場所が変わり最後に背後へ来るという怪談が記されている。
2013年の『怖すぎる都市伝説』と混同しないことも、資料を正しく読み解くポイントだ。
【怪談の仕組みと対処法】なぜメリーさんの電話は怖いのか?
メリーさんの電話が長く語り継がれてきた理由は、人形の恐ろしさだけでは説明できない。
その背景には、物語の構成そのものに仕掛けられた恐怖がある。
1. 電話が鳴るたびに恐怖が増幅する
この怪談の最大の特徴は、同じ形式の電話が繰り返されることだ。
最初の電話では相手は遠くにいる。次の電話では近くにいる。そして、その次にはさらに近づいている。
電話が鳴るという日常的な出来事が、恐怖の進行を知らせる合図に変わる。
読者や聞き手は、次の着信を待つことになる。電話が鳴らない時間さえも、不安を生み出す仕組みだ。
2. 見えない相手が距離を縮める
電話の向こうにいる相手の姿は見えない。
それにもかかわらず、現在地の報告によって、相手がどこにいるかを具体的に想像させられる。
これは、見えないものを頭の中で補完する人間の心理を利用した演出と考えられる。
映画では場所の移動を映像で表現できるが、口承の怪談では聞き手自身が空間を想像する。そのため、同じ話でも聞く人によって恐怖の感じ方が変わる。
3. 最後に背後という逃げ場のない場所を示す
「今、あなたの後ろにいるの」という結末は、怪談の恐怖を一気に完成させる。
それまで相手は電話の向こう側にいた。しかし最後には、電話という距離を保つ道具が意味を失う。
背後は自分の目で直接確認しにくい場所であり、日常生活でも無意識に警戒しやすい空間だ。
電話で接近するという段階的な演出と、背後という位置の組み合わせが、強烈な印象を残す。
メリーさんの電話への対処法は?
怪談の中では、電話に出ない、逃げる、振り返らないといった展開が語られることがある。
ただし、これらは物語上の結末やバリエーションであり、実際に人形の幽霊を撃退できる方法として確立されたものではない。
現実に知らない相手から不審な電話がかかってきた場合は、次のように対応したい。
- 個人情報を伝えない: 自宅住所、学校、現在地などを相手に教えない。
- 通話を終了する: 不審な相手との会話を無理に続けない。
- 着信を記録する: 必要に応じて着信履歴やメッセージを保存する。
- 着信を拒否する: 繰り返し電話が来る場合は番号をブロックする。
- 周囲に相談する: 脅迫やつきまといが疑われる場合は家族や警察に相談する。
メリーさんの電話はあくまで都市伝説だが、現実の不審電話に対しては、怪談のルールではなく通常の防犯対策を優先することが大切だ。
【都市伝説メリーさん】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:メリーさんの電話の正体は何ですか?
A1:一般的には、少女に捨てられた人形の幽霊とされています。電話で現在地を伝えながら持ち主に接近し、最後に背後に現れるという都市伝説です。ただし、特定の実在する人形や人物がモデルになったという確かな記録はありません。
Q2:メリーさんの電話は実在するのですか?
A2:怪談として語り継がれてきたことや、映画・児童書に登場したことは確認できます。一方、人形が実際に電話をかけてくるという超自然現象を証明する資料はありません。
Q3:メリーさんの電話の由来はリカちゃん電話ですか?
A3:1968年に始まった実在のリカちゃん電話が、由来の一つとして挙げられることがあります。人形と電話を結びつける文化的背景としては興味深いものの、両者の直接的な関係を証明する同時代資料は確認されていません。
Q4:映画『学校の怪談』にはメリーさんが登場しますか?
A4:登場します。1995年7月8日公開の第1作では、電話で現在地を告げながら学校内を近づいてくる怪異として描かれています。メリーさんの声は宇野あゆみが担当しました。
Q5:松山ひろしの『怖すぎる都市伝説』には何が掲載されていますか?
A5:2013年刊行の同書には66話の都市伝説が収録されています。目次には第28夜「十三段」が掲載されており、階段を題材にした怪談を調べる際の参考資料になります。
まとめ:メリーさんの電話は平成の怪談文化を映す都市伝説
メリーさんの電話は、電話のたびに人形が近づき、最後には背後に現れるという、シンプルながら印象的な都市伝説だ。
その成立を考えると、1968年に始まったリカちゃん電話という実在のサービス、1990年代の学校怪談ブーム、1995年公開の映画『学校の怪談』、1999年刊行の斉藤洋の児童書など、複数の文化的背景が見えてくる。
さらに、国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースには、1999年の民俗誌に記録された電話で接近する死者の話や、十三段の階段にまつわる怪談も残されている。
ここから分かるのは、メリーさんの電話が単独の人形怪談としてだけでなく、電話・位置情報・接近・背後という複数の恐怖表現を組み合わせた都市伝説として理解できることだ。
2026年現在も、この怪談の初出や発祥地は確定していない。だからこそ、映画の演出、児童文学の描写、民俗誌の採録、都市伝説研究の書籍を区別して読むことが重要になる。
メリーさんの電話の本当の恐ろしさは、電話の向こうにいる相手の正体が分からないことだけではない。
電話が鳴るたびに、見えない相手との距離が縮まっている。その想像を聞き手自身にさせることこそ、この怪談が長く語り継がれてきた理由なのである。
主な根拠資料・書誌情報
- 国立映画アーカイブ『学校の怪談』作品情報、宇野あゆみ公式サイトの出演歴。
- あかね書房公式書誌、国立国会図書館サーチ『メリーさんの電話』。
- 国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」。
- 東京子ども図書館『おはなしのろうそく』公式収録作品一覧。
- イースト・プレス『怖すぎる都市伝説』公式書誌、国立国会図書館サーチ『怖すぎる話』。
- タカラトミーのリカちゃん電話に関する公式資料。
(出典: 都市 伝説 メリー さん(Yahoo!ニュース))