SNSや通話アプリの普及に伴い、ネットスラングとして頻繁に見聞きするようになった「エロイプ」という言葉。軽い好奇心や寂しさを埋める目的で足を踏み入れる人がいる一方、その裏には個人情報の特定や金銭脅迫といった深刻なサイバー犯罪の罠が潜んでいます。
この記事では、エロイプという言葉の正確な意味や誕生の背景、利用されやすい通話アプリの実情をはじめ、知らずに関わると取り返しのつかない事態に陥る危険性と法的なリスクについて、取材に基づく客観的な視点から詳しく解説します。
【基礎知識】エロイプとはどういう意味?発祥の由来と現代の使われ方

「エロイプ」とは、「エロティック」と無料通話ソフト「Skype(スカイプ)」の名称を掛け合わせたインターネットスラングです。もともとは2000年代後半から2010年代にかけて、パソコン向け通話ソフトとして広く普及していたSkype上で、男女が性的な会話やWebカメラを通じた身体の見せ合いを行う行為を指して使われ始めました。
その後、スマートフォンの普及とともに多様なコミュニケーションツールが登場したことで、現在はSkypeに限らず「通話アプリやボイスチャット機能を使って性的なやり取りを行う行為全般」を表す総称として定着しています。
音声のみで性的な会話を楽しむケースから、ビデオ通話機能を使って下着姿や裸体をリアルタイムで見せ合う行為まで幅広く含まれますが、いずれもインターネット越しの非対面で行われる点が共通した特徴です。
エロイプ募集の実態と使われやすい代表的な通話アプリ
現在、ネット上ではどのような場所で相手が探され、どのツールが使われているのでしょうか。その背景には、若年層を中心に日常的に使われている主要プラットフォームの存在があります。
相手を募る導線として最も多く見られるのが、X(旧Twitter)などのSNSや掲示板です。検索避けやアカウント凍結を逃れるための隠語(伏字)を用いながら「通話相手募集」「暇つぶしに通話できる人」といった名目で投稿が行われ、ダイレクトメッセージ(DM)を通じて個別のやり取りへ誘導されます。
実際に利用される通話ツールとしては、以下のようなアプリが挙げられます。
1. Discord(ディスコード)
ゲーマー向けチャットツールとして発展したDiscordは、高音質なボイスチャットや手軽な画面共有機能を備えているため、特定のコミュニティやサーバー内で相手を探し、個別通話へ移行する事例が目立ちます。
2. LINE通話
日常的な連絡手段として誰もが利用しているLINEですが、オープンチャットや他SNSで知り合った相手と「捨てアカウント」やQRコードを交換して通話へ持ち込む手口が多発しています。
3. ランダム通話・マッチング系アプリ
見知らぬ誰かとボタン一つで即座に通話がつながるランダム通話アプリ(かつての「斉藤さん」などの系譜を引くサービス)も、気軽さゆえに性的トラブルの温床になりやすい環境となっています。
知っておくべきエロイプの危険性|録画流出とセクストーション(脅迫被害)の罠
「二人だけの秘密」「その場限りの通話」と思い込んで参加する人が多いエロイプですが、デジタル空間において完全な秘密は存在しません。画面の向こう側に潜む最大のリスクが「画面録画による映像流出」と「金銭・個人情報を狙った脅迫」です。
近年、特に警察庁やサイバー犯罪対策機関が警告を強めているのが「セクストーション(性的脅迫)」と呼ばれる犯罪手口です。相手は好意的な態度を装って油断させ、ビデオ通話で恥ずかしい姿や顔を映すよう巧みに誘導します。そして一度でもその映像を画面録画機能などで保存されると、態度を一変させて以下のような脅迫を仕掛けてきます。
「指定の口座に暗号資産や現金を振り込まなければ、この動画を学校や職場、家族にばら撒く」
「SNSのフォロワー全員に顔写真付きで動画を送信する」
相手が最初から録画目的で近づいてくる詐欺・脅迫グループであるケースも少なくありません。一度流出してしまった動画や画像は、第三者によって転載・保存が繰り返され、完全に削除することが極めて困難な「デジタルタトゥー」として一生残り続けることになります。
エロイプにまつわる違法性と法的な落とし穴
成人の当事者同士が合意の上で個人的に行う通話自体は、直ちに刑事罰の対象となるわけではありません。しかし、条件や関わり方によって重大な法律違反に抵触します。
1. 相手が18歳未満(未成年)の場合
相手が未成年の場合、たとえ同意があったと主張しても「児童買春・児童ポルノ禁止法」や「青少年健全育成条例」に違反する極めて重い罪に問われます。相手が年齢を偽っていた場合でも、トラブルに巻き込まれた時点で警察の捜査対象となるリスクを免れません。